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モロッコ旅行記Season1

モロッコ旅行記1 もくじ

モロッコ旅行記1 ラバト



モロッコの旅1 「ラバト」 ~「日出づる国」から「日の沈む国」へ~



ラバト/ムハンマド5世霊廟


3月いっぱいで派遣の仕事が満了となり、お金も少し溜まったことだし、
暇もできそうなので、久々に海外旅行に行こうと思い立った。
海外はなんと8年ぶりである。

各旅行会社のHPを見つつ、どこに行こうか考えた所、行き先はモロッコに決めた。
なぜモロッコだったかと言うと、昔松田聖子の曲で「マラケッシュ」という曲があり、
それを聴いていつか行ってみたいとずっと前から思っていたのと、
周りでモロッコに行った人がいないこと、
サハラ砂漠への憧れ、テレビで見た青い迷宮都市「シャウエン」にも行ってみたかったなど、
それらを総合し、年齢的にもこれ以上年をとってからでは、
体力的にキツいだろうということもあって、今行く決心をした。

とはいえ場所はアフリカ、イスラム教の国、未知の世界だけに不安はつのる。
お金は多少かかってしまったが、
全送迎付きの専用車とドライバー兼現地係員(英語)付きのツアーにした。

モロッコがどこにあるか知らない人も結構いるのだが、
モロッコはアフリカ大陸の北西の端、「マグレブ」(=日の沈む国)とも言われ、
西部は大西洋、北部は地中海に面していてスペインの対岸に位置し、
一番近い所ではスペインから十数キロくらいしか離れていない。
ゆえにモロッコ北部はアラブっぽい雰囲気に加え、ヨーロッパ的な雰囲気もある。
それに対してアトラス山脈を挟んだ反対側の南モロッコはアフリカ的な雰囲気が濃くなる。
人種もいろいろな血が混ざっているようでいろんな顔立ちの人がいるので、
一言で「モロッコ人はこういう感じの人」とは形容しがたい


成田を発って20時間あまり、ようやくカサブランカのムハンマド5世空港に着く。
ターミナル2の出口で現地係員と待ち合わせとなっていたのだが、それらしき人が見当たらない。

ふと見渡すと、日本人らしき女性が一人、同じように立っていたので、
声をかけるとやはりガイドが見つからなくて戸惑っていた。
「人の事言えないけど、よく一人で来ましたねー」と私が言うと、
「一生に一度の旅だと思って、思いきって来ちゃいました。(笑)」とのこと。
「私も同じ同じー」となんとなくほっとしたものの、相変わらずガイドは来ない。
彼女も同じくガイドが来なかったので、
おそらくどちらのガイドも別のどこかにいるのだと推測できたが、
勝手に動いていいものかわからないし、どこにいるかもわからないので「どうしましょうか?」と、
二人で途方に暮れていた。

しばらくすると、空港スタッフがやってきて、「ターミナル1の出口でガイドが待ってるよ!」
と教えてくれたので、そちらに向かう。

私の日程表にも彼女のプリントにもターミナル2の出口で待ち合わせと書いてあるのだが…。
ターミナル1の方に行くとようやく私の名前を持ったガイドを発見。

今回お世話になるアハメッドさん。
これが彼との出会い。

一緒に待っていた彼女のガイドも近くにいるとのことで、ここで彼女とはお別れ。

現地係員とは旅行中ずっと行動を共にする事になるので、どんな人が来るか心配だったが、
アハメッドさんは陽気でいい人そうでちょっとほっとする。
西洋人よりのアラブ人という感じの顔立ちで、年齢は私と同じくらいかな?

のどが乾いていたので「I want to buy water」と言うと空港のは高いからと、
空港近くの道路沿いの小さなお店でミネラルウォーターのペットボトルをおごってもらう。
店員さんは皆まだ12~16歳くらいの少年に見えた。
「アッサラームアレイコム!」(=こんにちは)と、少年達にアラブ語で挨拶してみた。
なんとなく通じたみたい。(^ ^;)

道路上でしょっちゅうポリスが立っている。
政府の要人が来るとかで警備が強化されているらしい。
アハメッドさんは毎回警官に向かって「シュクラン!」(=アラブ語で「ありがとう」)と、
敬礼をする。(「ごくろうさま!」みたいな感じかな?)
にこにこしながら挨拶してるので、最初は知り合いなのかと思ってたけど、
旅の間ずっとやってたからそういうものなのかも。

黄色のワゴン車で今日の宿泊先のフェズの街まで向かう。
また3時間くらい車に乗らなければいけない。
いったいベッドで寝られるのはいつになるのか…。

モロッコは砂漠もあるし、乾いたイメージだったが、フェズまでの道の景観は、
緑があふれ、赤、白、黄色、ピンク、紫、青、色とりどりの花が咲き乱れ、とても爽快。
春のモロッコは一番いい時期と言われているらしいが、
暑くも寒くもなく確かにいい時期かもしれない。


↑ひたすら草原が続く。

アハメッドさんが「左を見てごらん」と言う。
海が見えた。
思わず「あー!!アトランティックオーシャン!?」と叫ぶと、
アハメッドさんはちょっとびっくりしたように「イエース」と言った。
「大西洋、初めて見た!私は太平洋しか見た事ないんだ!」と
言ったら、
アハメッドさんは「それじゃ、首都のラバトが近いから寄ろう」と提案。
そこからもアトランティックオーシャンは見えるらしい。

ラバトは首都ではあるが、それほど大きくない街。
ミナレットというイスラム圏でよく見られる高い塔のある広場みたいな所に来た。
巨大なミナレットの向こうに大西洋が見える。


↑落ち着いた雰囲気の広場

ここで何枚か写真を撮って、フェズに向かった。

フェズに到着したのは夜7時くらい。
やっとベッドで眠れる…。
家のベッドを出て以降、30時間以上は経っていた。
フェズ観光は明後日になっており、明日はここから一番見たかったシャウエンに向かう。
フェズの街の喧騒を聞きながら、眠りに落ちた。





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モロッコ旅行記1 シャウエン




モロッコの旅2 「シャウエン」 ~青の迷宮都市~


シャウエン



今回の旅で一番見たかった町「シャウエン」に向かう。

この「シャウエン」に行きたいがために今回高いツアーを選んだのだ。
某有名旅行代理店主催のモロッコ団体ツアーの方が、日本人添乗員も付くし、
安かったのだけど、このシャウエンを網羅しているツアーは一つもなかった。

マニアックな旅行会社でしか網羅していなく、今回は一応募集型パッケージツアーなのだが、
一人から催行で一人しか申し込みがなかったので参加者は私しかいないのだ。
車もガイドも貸し切り状態で贅沢な旅だが、英語があまり話せない私には英語のみのガイドと
二人きりで長時間の移動はそれなりに気を使う。



↑今回の旅の友、イエローワゴン。

朝、アハメッドがホテルに迎えに来る。
ふと、助手席に若い青年も乗っている。
アハメッドが説明してくれたけど、よくわからなかった。
多分、研修生か何かっぽい感じだったけど、一緒にシャウエンに行くらしい。
名前はオーマ、肌の色が濃いがわりとイケメンだ。w
オーマはアラブ語とフランス語は話すが英語は話せないらしく、
車内でもあまり話さない、物静かなタイプ。

また4時間ほど車に乗って移動。
今回の旅はとにかく移動が多い。



↑ガソリンスタンドで小休止。

最初は相変わらず草原がひたすら続いている。
大きな荷物を背負って更に人を乗せながら、健気に働くロバ、
のびのびと草を食む牛や羊、ヤギが多く見られ、とてものんびりと牧歌的な雰囲気だ。
北海道に行った時に「広いなぁ」と思ったけど、
ここは北海道の100倍くらいの広さではないかと思う。


↑途中の名もない湖

草原からだんだんと山に入って行く。
いくつか山を越えてひらけた所に出ると山の向こう側にシャウエンの町が見える。
シャウエンは高台に広がる小規模な町だが、
その町を見渡せる場所から見たスケール感は、写真ではきっと伝わらないと思う。




シャウエンに到着し、アハメッド達とは一旦離れ、
シャウエン専門のガイドさん(名前忘れた)が町を案内してくれる。
彼も英語ガイドで「ドライバーガイドから英語があまり解らない人だって聞いてたけど、
そのくらい解れば大丈夫だよ!」と言われ、
「う、アハメッドはそう見てるのか…(-_-;)」と思った。
このガイドさんも明るく、町のみんなと知り合いのようなフレンドリーな人だった。
アハメッドやオーマよりも土着の民族っぽい顔立ちで、シャウエンで生まれ育ったらしい。
歳はよくわからないけど、50代くらいかなぁ?



↑シャウエンのパン屋さん

シャウエンのフォトスポットなどを案内してもらう。
さすが、どこもかしこもフォトジェニックな町だ。
モロッコ北部に位置するこの町は、スペインの影響を大きく受けていて、
町の人々も「オラ!」とスペイン語で挨拶したりする。
モロッコ特有の迷路のようなメディナ(旧市街)は、
全体的に青く塗られていてとても幻想的だ。




元々はスペインアンダルシア地方の白い町並みのようだったが、
ここは虫除けのため青く塗ってこうなったらしい。

小一時間ほど一緒に歩き、ここはそんなに危なくない町なので、
一人でも大丈夫だよと言われ、一人でもぶらぶらしてみることに。

歩き出して間もなく、一人の東洋人の女性に「こんにちは!」と声をかけられた。
「ジャパニーズ?」と聞くと「はい!」という。
またしても日本人、しかも一人旅の女性に絶妙なタイミングで会った。
のども渇いていたので、一緒にカフェでオレンジジュースを飲む事に。
モロッコの特産であり、今が旬のしぼりたてオレンジジュースはどこでも飲める。
大変おいしい。


↑小さな女の子が遊んでる。

↑時計屋さん?やっぱり青い。

彼女は15日くらい旅をする予定で、もう終盤らしい。
ドライバーなどはつけず公共の交通機関だけで移動をしている。
私は「一人でモロッコに行く」と言ったら、結構「すごいねー」ってびっくりされたけど、
専用ドライバーをつけているなんてのは、
こういう所を旅している人からしたらへなちょこな方なんだと思う。





↑何を撮ってもかわいい!

カフェを出て、また少し歩くことに。
さっきシャウエンガイドに教えてもらった
「どのガイドブックにも載っている素敵な写真スポット」を、
なんとか迷いながらももう一度たどり着くことができ、彼女を案内してあげることができた。


↑ほとんどのガイドブックに載っている場所。私のガイドブックには載ってなかったが…。

彼女は「きれーい!」と写真を撮っていた。
「ここいいね!」と思う感性が近いのか、
私が「あ!」って思った所では、彼女も「あ!」と立ち止まって、
二人で「いいですね~」って言いながら写真を撮りまくっていた。




↑シャウエンに限らず、モロッコは猫が多い。

「シャウエンは雨の多い所で晴れるのは珍しいみたいですよ。」と彼女が言った。
雨女の私にしては素晴らしすぎるほどのお天気。
何かオチがあるのではないかと今後の事が疑心暗鬼にもなる。



↑とにかくかわいい。

5時にアハメッド達と待ち合わせになっていたので、彼女とはその前にお別れした。



↑シャウエンの夜景



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モロッコ旅行記1 フェズ



  モロッコの旅3 「フェズ」 ~ハマム(公衆浴場)で人生観が変わる~



フェズ/ブー・ジュルード門


朝、シャウエンから再びフェズへ4時間ほどの道を戻る。
途中、道路で犬がひかれて死んでいた。
一旦通り過ぎたが、アハメッドはUターンし、犬からちょっと離れた所まで戻った。
イケメンオーマが車を降りて、その犬を道路の脇まで引っぱって除けた。

「親切な人達だなー」と思った。

オーマはその時に蜂に刺されてしまったようで、指をつまんで「痛い。」と言っていた。
アハメッドがアルコールをスプレーしてあげていた。
オーマは21歳らしい。(若っ!)
アハメッドは私より4つ上だった。

車内のBGMは昨日まではアラビックやアフリカン、
または何故かカンナム・スタイル(^ ^;)などがループしていたが、
飽きたので今日はポピュラーなミュージック。
マイケルジャクソンやホイットニーヒューストンなどで、
アハメッドは「マイジェネレーション!」とノリノリだった。
アハメッドはよくジョークを言ったり、
「アイム、クレイジードライバー!」などとふざけたりしているが、
意外と常識的な人、育ちはちゃんとしていそうな気がする。


↑ロバがのんびり草を食む光景はなごむ。

フェズに到着、今まできれいな所ばかり見てきたけど、
フェズではこの国のリアルを垣間見た気がした。
フェズはモロッコの中では第三の都市でもあり、古い街。
日本で言う京都みたいな所らしい。
(以前、京都と姉妹都市だったこともあるそうだ)

ここではアハメッドが「あなたのために日本語が話せるガイドを見つけたよ!」と、
どうやら少しでも私が街を楽しめるようにガイドネットワーク(?)を駆使して、
日本語が話せるフェズ専門のガイドを探してくれたようだった。
(モロッコで日本語が話せるガイドは少ない)
アハメッド、なかなかデキるガイドのようだ。

フェズのローカルガイドはモハメッドさん。
確かに日本語は話せるが、パソコンの翻訳で訳したような日本語。(^ ^;)
でも、大体の事は理解できるので、とても助かる。



↑フェズのスーク(市場)。生きたニワトリやうさぎなんかも売られている。

フェズは巨大な迷路のようなメディナの街。
細い路地がごちゃごちゃと続いていて、ちょっと歩いただけで方向も何もかもわからなくなる。
たまに物乞いが座りこんでいたりで、暗い路地などは一人で歩くのは結構怖い。
そんな路地を入った所に今日のランチのお店がある。
入り口からは想像もつかないくらい、中は広々とした空間が広がっている。
10メートル位の高さの天井の大広間のような場所に、テーブルをセッティングしてもらい、
そこでぽちーんと一人、食事をとる。



↑この広い場所で一人食事。奥の方に座って喋っているのはフェズ専門ガイドのモハメッド。

西洋人の団体が、個室のような所にぞろぞろ入って行ったり、
スタッフが忙しそうに行き来するのを眺めながら、サラダやタジンなどを食べた。

フェズは職人の街でもあり、
タンネリと呼ばれるなめし革職人街や、銀細工の店、絨毯屋、陶器の工房などを周り、
どの店の人にも「別に買わなくてもいいんですよ!」って言われはしたのだけど、
なんとなく革のバブーシュとお皿を買ってしまった。



↑タンネリと呼ばれる場所。革を鳩のフンの入った槽で洗う。結構臭い。

バブーシュ200DH(ディラハム)300DH (約2000円と3000円)。
モノは良いのかもしれないが、ちょっと高かったなと、
後々買い物していくうちに思った。



↑陶器の工房。タジン鍋を作っているのかな?

夕方、宿泊先に向かう。
今夜の宿はリヤドという古い邸宅を改装した趣のある宿だ。
アハメッドは「日が落ちたら絶対外に出ないでね!」と言う。
モロッコ第二の都市、マラケシュは仕事もあるしポリスもいっぱいいるので、
夜でも歩いていいけど、フェズは失業者も多く、ポリスもあまりいないので、
夜は危険らしい。



↑天がい付きのベッド!!


↑今回唯一のバスタブ付き!結局お湯は張らなかったけど。

アハメッド達はそれぞれの宿泊先に行ってしまったが、
私は本日のプログラムでこの後ハマムに行く事になっていた。
ハマムとは公衆浴場のことである。

フェズの街はなんとなく怖いし、疲れてめんどくさいなぁとも思ったので、
リヤドのスタッフがにこにこして「今日ハマムに行くんでしょ?」と聞いてきたけど、
「う~ん、行かないかも。」と言ったら「なんで?!気持ちいいよ!」と言い、
また後で来るからと、部屋を出て行った。
「行かないとダメかなぁ?」と部屋で考えていたら、
さっきのスタッフともう一人女性スタッフが迎えに来た。
ここで行かないのも申し訳ないかな?と思ったので、ハマムに行ってみることにした。

女性は英語が話せないのか、無言でスタスタ歩いて行く。
早足でついて行くのが大変だ。
「はぐれたら迷子になってしまう!」と必死でついて行った。

いくつもの細い角を曲がり6、7分歩いてハマムに到着。
ドアを開けるといきなり脱衣所で半裸の女性がうろついている。
貴重品など入れるロッカーもなく、
みんなの着替えなどが置いてある場所にバッグを置けと言われたけど、
心配だったので「持って入る!」と言ったら、
受付のおばちゃんみたいな人の所にバッグを持って行かれた。
かなり不安だが仕方ない。

別の上半身裸のおばちゃんが出て来て、服を脱げというので、
パンツ一丁になって浴室に入る。
地元のおねえさんやお母さんで中は賑わっていた。
みんなグラマラスな方々ばかりで、私はひとりちっこい東洋人。
かなり目立ってみんなこっちを見ていた。

おばちゃんが小さなマットを指差し、ここに座れという仕草をしたので、とりあえず座る。
ちょっと待てという仕草をしたので、体育座りでぽちーんと5分くらいひとり座り、
周りの様子を伺っていた。

大きなお湯が溜まっている所から、おばちゃんがバケツにお湯を汲んできて、
私のまわりに並べていく。
いくつか部屋があって、温度の違うお湯があるようだ。
それらを調合して丁度良いあんばいにお湯加減を調整していく。

準備ができたところで、サボンノワールという黒い石けんを体に塗られ、
アカスリしていく。

しばらくすると、おばちゃんが自分の太ももを指差し、ここに寝ろという。
「えぇー」と思いつつも、嫌だとも言えないので従う。
自分の母親くらいの人の膝枕状態で、ゴシゴシされる。
顔もおかまいなくゴスゴス。痛い。

それが終わると、床に直でうつ伏せで寝ろと言われた。
日本の銭湯だって床に寝るなんて汚いって思ってできないのに、
でもやはり嫌だとは言えないので従う。次は仰向けで寝そべる。
ここまでくると「あー、もうどうでもいいやー」って気持ちになる。
それに加えて日本でのつまらない事で神経すり減らしている事がばかばかしく思えてくる。
よくインドに行くと人生観変わるとか言うけど、こういうことかもしれないと思った。

最後に「シャンプ」とおばちゃんが言ったので、自分で持ってきたシャンプーを渡す。
泡立てたら、くしで思いっきりとかされる。
痛いしめっちゃ傷むよ!それ!
そしてリンスした後、頭から何度もお湯をぶっかけられる。

合間にちらっと周りの女の人を見たら「あーあ、やられてるよー」みたいな感じで、
にこにこしながらこっちを見ていた。
全部終了して浴室を出るときに「バイバイ」と小さく手を振ってくれた。

体に触ってみると、肌がつるつるになっていた。やるな!おばちゃん!

着替えてリヤドに戻ろうとしたら、出るときあたふたしていたので、
替えのパンツを忘れてしまったのに気がついた。
もともと履いていたのは、すでにびちょびちょなので履けず、
仕方ないので、そのままズボンを履いて帰った。

おばちゃん達がじーっと見てたけど、
私が帰った後「あの子パンツはかないで帰ったわよ」と、
言っていたに違いない…。



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モロッコ旅行記1 メルズーガ



モロッコの旅4 「メルズーガ」 ~幕の内弁当のような一日~



サハラ(メルズーガ)


朝、リヤドにアハメッドとオーマが迎えに来た。
ぐるりと中庭を囲んだ形に並んだ客室の二階だったので、
部屋の前の通路の手すりから身を乗り出すと、
下の中庭のようなロビーから二人が上を見上げている。



↑向い側の客室。

↑中庭兼ロビー兼ダイニング

オーマ、3日目ともなると笑って手を振ってくれるようになった。ちょっと嬉しい。
下に向かって「Wait! Wait!」と言った後、慌てて準備する。

入り組んだ場所にある宿なので、車が横付けできないため、
オーマが車道までスーツケースを運んでくれた。
言葉はないが、私がちゃんとついて来ているか何度か振り返って確認する。

車に乗り込むと、オーマはここでお別れだと言う。
そんな気はしていたがちょっと残念。
握手をしてチップを渡そうとしたら、
オーマもアハメッドも「いいよ!いいよ!」って感じで断ったが、
「my mind」と言ってチップを渡した。
オーマは嬉しそうに「ありがとう!」と言った。

バイバーイ!とオーマに手を振り、今日は一路砂漠の町「メルズーガ」へ。
長い長いドライブ、しかもここからはアハメッドと二人きり。緊張する。

朝からアハメッドがどこかに電話をしながらモメている。
アラビア語で喋っているから、内容はよくわからないが。
電話が終わると「ごめんごめん、16歳になる長男が学校を休んでいて…」という。
「なんで?病気?」と聞くと、病気ではないという。
登校拒否というか、反抗期的な感じっぽい。
どこの国も難しい年頃の子供は大変なんだねぇ。

アハメッドは16歳の男の子と、12歳の女の子、5歳の男の子の3人の子供のお父さん。
とても子煩悩な感じで、娘の事が大好きらしい。
「 I love my daughter.I miss my daughter.」と言っていた。
私にずっとついて旅をしているので、1週間くらい娘には会えないのだ。


↑またまた草原が続く。シャウエンに向かう時より短い草が多い。

フェズから今度は南に向かって走ると、アトラス山脈にあたる。
アトラス山脈には、4000メートル級のアフリカ大陸で二番目の高さの山があるハイアトラスと、
ミドルアトラス、ローアトラスがあるらしいが、この辺りはミドルアトラスになるらしい。


↑ミドルアトラスの山なみ。

途中のルートは二つあり、まっすぐ砂漠に向かう道と、
ちょっと回り道だけどスイスのような景観のイフレンという町を通る道。
私はイフレン経由の道を選んだ。

標高が高くなるにつれて、空気がひんやり澄み渡ってくる。
よく見るとこの辺の木々は針葉樹林だ。
冬には雪が積もって道路が閉鎖されたりもするらしい。
アフリカのモロッコ、暑い国だと思っていたが、こんな面もある。

オレンジ色のとんがり屋根の建物がいくつか見えてきた。
イフレンの町だ。
お金持ちが行く大学がある町らしい。
そして真っ青な空に新緑が眩しい。



↑イフレンの街


↑アフリカとは思えない。

100年ほど前、実はこの辺にはアトラスライオンという種類のライオンや虎がいたらしい。
でも今は、殺されていなくなってしまったそうだ。
アトラスライオンは大きなライオンで、イフレンの街に等身大の石像があるというので、
そこも見に行ったが、「ほんまかいな!?」ってサイズの石像だった。
あんなでかライオン、何食べてたんだろう?と疑問に思った。



↑アトラスライオンの像

その後、サルのいる森を抜けて、サルの親子に遭遇。かわいい。





そこを過ぎるとだんだんと木々は少なくなり、
更に進むと草も減り、ごろごろと石ころが転がっているのが目立ってくる。

ミデルトという町に着き、ここでランチ。
レストラン内に普通に猫が歩いていたが、誰も何も気にしない。
ここはりんごの産地でデザートにアップルパイがついていた。



↑昼食をとったミデルトの風景。

午後も車でひた走る。
ごろごろ石ころの平野はいつしかダイナミックな渓谷の景観に変わっていく。



↑ほんと写真では伝わらないですが、この岩高さ90メートルくらいあります。大迫力!!

その岩山もだんだんと渇いた大地に変わっていく。



↑渇いた集落とオアシス。

エルフードという町に到着。
トイレ休憩がてら、化石記念館のような場所に寄る。
エルフードは化石の町なのだ。

いろいろ化石を見せてもらい、案の定最後に「化石買わない?」との話になる。
「No thank you」と断ったが「安くしとくよー。」と食い下がってくる。
「あー、めんどくさいなぁ」と思っていると、
横からアハメッドが「ありがとう!じゃ、行こうか。」と、
化石記念館の人にさりげなく言って、その場を去った。
あれ?もしかして助けてくれた?

町も人もこの辺りまで来るとかなりアフリカ色が強くなる。
BGMの叙情的なアフリカンミュージックが景色と相俟って心にぐっとくる。

あるホテルの前で、今まで共に旅したイエローワゴンから、一旦4WDに乗り換える。
4WD専門ドライバーが加わり、3人で砂漠に向かう。
メルズーガまでは道なき道を行くので、普通車では厳しいのだ。
4WDで石ころ砂漠のような所をぐんぐん走る。

30分ほど行くと遠くにベージュの美しい砂丘が見えてきた。
今晩の目的地、メルズーガ大砂丘だ。



↑メルズーガ大砂丘。

自分は今、サハラ砂漠にいる。なんかうそみたいだ。

今日一日で古都の迷宮→お花畑と草原→残雪の山脈とスイスのような景色→
ダイナミックな岩と渓谷→砂漠と、一日で様々な景色を見た。
まるで豪華な幕の内弁当のようだ。
(みなさまこの日最初の頃の写真と景色比べてみて下さいませ!)

メルズーガに到着し、大砂丘の目の前のオーベルジュ(=ホテル)にチェックイン。
この時、アハメッドがサンセットとサンライズのらくだツアーの予約をしてくれた。

東京のツアー会社にツアーを申し込む時に、らくだは乗れるか?と問い合わせをしたら、
その時は担当の人が「大丈夫」と言ったのでそのつもりで申し込んだが、
実際日程表が来たら、らくだツアーの記載がなく、
再び問い合わせたら「ついていません、勘違いでした。」と言われた。
口コミであまり評判のよくない会社だったが、やはりひどい会社だ。

移動中アハメッドに「らくだ乗るんでしょ?」と聞かれて
「それが、らくだツアーがついてないみたいで…」と言ったら、
「なんで!?」と聞くので「わたしもわからない」と言っていた。
「ホテルでオプションでツアー申し込もうと思ってるけど…」と言っていたのだが、
さっさと手配してくれたようだ。
日本のツアー会社よりも、委託されてるモロッコのツアー会社の方が
よっぽどしっかりしてるよなと思った。

アハメッドは「Enjoy!」と言ってエルフードの町に戻って行き、
私はらくだツアーへ。


↑らくだちゃんカワユス♪

いくつからくだのグループが砂丘へ登っていったが、このグループは私一人。。
らくだおじさんに引かれてらくだに乗って歩いていると、
丘から東洋人のカップルが下りて来て、驚いたように私を見ていた。

「日本の方ですかー!?」と声をかけると「はい。」と言う。
女性の方が「一人で来たんですかー?」と言うので「そうです。」と答えると、
二人とも「えぇー!すごい!!」と更にびっくりしていた。
なんだか気恥ずかしい感じで「じゃ!」と私は丘に向かった。

遠くの方にらくだ隊のグループは見えるものの、おじさんと二人きり日が暮れかけの砂漠。
何もないだろうとは思いつつ、ちょっと不安な感じは否めない。



↑らくだおじさんと私。の影。

おじさんは「ラクダハラクダ」とダジャレを挟みつつ、「ハァーツカレタ。」とたまにぼやく。
確かに実際歩いてみて、砂丘を歩くのがどれほど大変かわかった。
膝下くらいまでずぼっと砂に埋もれてしまうので、とても歩きにくい上に思いのほか急勾配なのだ。


↑一つ一つの丘は見た目より急で大きい

30分ほど行き、丘の上に到着、おじさんがカーペットを敷いてくれてここに座りなと言う。
二人でじーっと座って日が沈むのを待つ。
「おじさんはサハラ生まれ?」と聞くと「そうだ」と言った。

おじさんが「キャンディ!」というので「飴?」と持っていた飴をあげた。
日本の飴が好きなんだと言ったが、彼なりのコミュニケーションだったのかもしれない。



↑おじさんが撮ってくれたショット。

地平線の向こうに太陽が落ちていった。
残念ながら下の方は雲がかかってしまっていたが。

おじさんが「いくよー」と斜面にカーペットを敷き直し、またここに座れと言う。
「ん?」と思って座ると、カーペットを斜面の下に引っ張った。
「きゃー!」と叫んだけど、これ、天然の滑り台。おじさんの粋な計らい。

帰り道もおじさんはらくだを引きながら「ラクダハラクダ。ハァーツカレタ」とずっと言っていた。





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モロッコ旅行記1 アイト・ベン・ハドゥ



モロッコの旅5 「アイト・ベン・ハッドゥ」 ~噛み合わない思い~



トドラ渓谷


朝、4時起き。(早っ!)
サンライズのらくだツアーに参加するためだ。

今朝の参加者は3人。
昨日すれ違った日本人カップルと私。
昨日のディナーの時、隣の席に座っていたので、少し話をした。
同じホテルに泊まっていたようだ。

最初暗くてよくわからなかったが、「ラクダハラクダ」と言っていたので、
きのうと同じおじさんだとわかった。

早朝の砂漠は思いのほか寒い。
コットンブラウスの上にフリースを着ていたが、凍えそうだ。

うっすら周りが明るくなってきた。
白い月が砂漠の上に浮かんでとてもきれい。



昨日とは違うポイントでらくだを降り、見晴らしの良い所まで頑張って足で登った。
冷たい風が容赦なく体温を奪っていき、寒さで手がしびれてくる。

おじさんがカップルに向かって丘の向こう側を指さし、
「アッチ アルジェリア コワイ」と言っていた。
隣国のモロッコでもアルジェリアに対してはこういう気持ちなのだなと思った。

しばらく待ってやっと日が出てきた。
日が出ると寒さも少し和らいだ気がする。
太陽ってありがたい。
日の出は雲もかからずきれいに見えた。


↑ご来光~。

ホテルに戻って朝食。
すでにアハメッドが迎えに来ていたので急いで食べる。

ホテルのスタッフは若いにーちゃんが多かったが、
私が食べていると「ココスワッテイイ?」と、隣に座ってくる。
「いいけど、ガイドが待ってるからもう行くよ。」と言うと、
「ダイジョブダイジョブ」と、ちょっとチャラい。
用事があったのか「マッテテネ」とどこかに行ってしまったけど、
待ってる時間もなかったので、さっさとチェックアウトしてしまった。

4WDに乗り込もうとした時、ホテルの敷地から
日本人カップルの女性の方がこちらに向かって手を振っていた。
私も「バイバーイ!」と手を振って、メルズーガを後にした。

エルフードでまたイエローワゴンに乗り換える。
今日も長いドライブだ。


↑エルフード近くの町。アフリカらしい感じ。

ある町にさしかかった時、アハメッドが「ベルベルハウスに行くか?」と聞いてきた。
ベルベル人というのは、昔からこの辺りに住む土着の民族で、
その家を再現したものがベルベルハウスだと言う。
「行く!」と元気に答え、ベルベルハウスへ。

民族衣装を着たベルベル人のおじさんが迎えてくれて、ミントティーを入れてくれた。
「ここに座ってくつろいでって!」というので、のんびりしていると。
色とりどりのベルベル絨毯を見せてくれた。
それも何枚も何枚も。
そして「安くなってるから!」という。
あれ?買わせるためにここに来たの?

アハメッドの方を見ると、化石の時は止めてくれたのに黙って見ている。

正直、絨毯は欲しくなかったし、いったいいくらするのかわからなかったので、
ある程度話を聞いた所で「ノーサンクス!」と断った。
そうするとおじさんは他の部屋にも他の物があるから見てってと言い、
別のスタッフが別の部屋でいろんなモロッコ雑貨を見せようとしてきた。
「売りつけられる!」と思った私は全力で「ノー!サンキュー!」と言い、
半ば不機嫌な感じで店を出てしまった。

店のスタッフは「ジャポネーゼ、ワカラナイ」と言っていたが、
私もこの人達がどういうつもりなのかわからなかった。

気を取り直し、「じゃぁ行こうか」と車に乗り、この町を出た。

途中ぽこぽこ小さな山のようなものがいくつも見える場所に来た。
「これは ido」だと言う。
このあたりの家庭ではいくつか井戸を持っていて、それがこんなに沢山。
深さは深いもので80メートル。
その中の一つを覗き込んでみる。
小石を投げ込んでみるとしばらくして「コツン」と音がする。
でも、これは枯れ井戸のようだ。



↑無数の井戸が果てしなく並ぶ

またしばらく行くと何かアハメッドが説明を始めたが、英語が全然わからず、
「?」という顔をしていたら「Understand?」と言うので「No…」と言うと、
「オー マイ ゴッド、けっこうゆっくり喋っているんだけどなぁ」と言われ、
思わず「Sorry」と謝る。

結局の所、らくだに注意のめずらしい標識の事を言っていた。
この標識はここにしかないらしい。


途中の高台に車を停め、集落を指差し「Look」とアハメッドが言った。
昔、ここは奴隷として連れて来られた黒人達の町だったらしい。
今ではアメリカの黒人は自由にジャズを演奏したり聴いたりできるけど、
前はできなかったそうだ。
アメリカの黒人の先祖はこの辺りの黒人で、
この土地の人が奏でるリズムはジャズのリズムとよく似ているらしい。
アフリカ、そんな歴史がある所だ。


↑集落を望みながら悲しい歴史を思う。

そこからはしばらく単調な景色が続き、
朝も早かったので寝てしまった。

気がつくと周りは赤茶けた岩に囲まれた道。
ランチ予定のトドラ渓谷が近いっぽい。
アハメッドが「Did you sleep?」と聞いてきたので、「ねた。」と答えた。

トドラはスペイン人に人気の観光スポットらしく、
きれいな川沿いの道をスペイン人の旅行客がぞろぞろ歩いていた。

アハメッドが「あなたも歩いてみる?」と笑いながら言ってきたけど、
冗談だと思ったのと外が暑そうだったので「いや、いい。」と断った。
しばらく進むとまた「ランチの場所がもうすぐだから、そこまで歩いておいで。
ちゃんとフォローしてるから。」と言うので車を降りて川沿いを歩いた。
思ったより暑くなく、風と日差しが心地よい。


↑大迫力のトドラ渓谷。

↑川の中を四駆が走る。楽しそう♪

今にも崩れ落ちてきそうな巨大な岩と、何とも清らかな川を眺め、
ランチの場所に到着。
オープンエアの席でとても気持ちがよい。

スタッフが忙しそうで料理が出てくるまで時間がかかったので、
ガイドブックに載っていたアラビア語の「カン メズヤーン」(=おいしかったです)
という言葉を覚えてみる。
ランチが終わったらアハメッドに言ってみよう。


↑ケフタ(ミートボール)タジン。アップルサイダー「POMS」とともに。

ゆっくりとランチをし、アハメッドが待っている所に行って「I finish」というと、
早速「カン メズヤーン」と言ってみた。
でも発音が悪いみたいで「ん?」って感じで全く通じず、「アラビア語の勉強をしていた」と、
ガイドブックを見せたら、「あぁ、カンメズィヤーン」と、正しい発音を教えてもらった。
「カン」は食事という意味で「メズィヤーン」は「GOOD」という意味らしい。
「メズィヤーン」はいろんな場面で使える言葉だ。

ランチが終わってまた道を走っていったのだが、アハメッドのトーンがちょっと重い気がした。
気のせいかな?とあまり気にしないようにしていたら、
「あなたはさっきのベルベルハウスで楽しくなさそうに見えたけど、どうして?」と聞かれた。
あぁ、と思い「私はもっとミュージアムみたいな所だと思っていた。」と言った。
アハメッドは「あなたは高額なカーペットを売りつけられると思って怖がっていたでしょう?
せっかく素晴らしいカーペットを見せてあげようと思ったのにNO!NO!ってあなたは言った。」
「あそこは手頃な値段で良質なカーペットが買える場所で、良心的な店だっだんだよ。」と、
ちょっと怒っているようだった。

どうやらちゃんとした協同組合兼工芸館のような場所だったっぽく、
確かにハナから否定して拒絶モード全開だったのは、失礼だったかもしれない。
でも、だったら最初に価格の事は言って欲しかったし、
カーペットは正直あまり興味ないし欲しくないのだ。
それを角が立たないように伝えるには英語がそれほどできない私には難しかった。

それと、トドラで最初に歩かなかった事や途中で寝てしまった事も不満だったようだ。
「せっかくモロッコまで来たんだから、もっと楽しんで欲しいし、
あなたが楽しくないと私も楽しくない。」と言う。
それも正直早起きだったので疲れていた事もあったし、
私はのんびり景色を見ているだけでもちゃんと楽しんでいるのだ。
普段からこういうテンションなんだけど、
アハメッドには私がつまらなさそうにしているように見えたらしい。
でも、それを言葉でどう伝えていいのかわからない。

「今日は朝4時起きで正直ちょっと疲れているんだ」とだけ告げた。
「それはわかってるよ、でももっとエンジョイして!」とアハメッドは言った。
とりあえず「I understand」と答えた。

日本人はこういう時も黙っているけど、さすが外国人、はっきり物を言う。

ちょっと気まずい空気を消すように今度はアハメッドが
「じゃぁ、1から10までの数をアラビア語で教えるから、日本語での言い方を教えて!」と言う。
「Good idea!」と私も乗った。
「ワヘッド ジュルージュ ザラーザ アルバン カムサ
 シッツァ セヴァ サマーニア ジージャ アシュラン」
これがアラビア語の1~10。
発音も難しいが、とても覚えにくい。

対して日本語。
「イチ ニ サンは(Sun=太陽) ヨン ゴ(Go)
 ロク(Rock) ナナ ハチ キュー(Q) ジュー」
発音は難しそうだったが、わりとすんなり覚えたようだった。
「You are good teacher」とアハメッド。二人で「ハハハ」と笑った。

ダデス渓谷に到着。
ここはバラの産地でローズショップに寄る予定。
サンテグジュペリの「星の王子様」の中で、サハラ砂漠を彷徨っていた王子様が、
沢山のバラの咲く庭に足を踏み入れる場面があるのだが(←この場面好きなのだ)、
私はこれはダデス渓谷のことなんじゃないかと思っている。

アハメッドがお友達のローズショップに連れて行ってくれた。
お友達はいかにもアフリカンと言った感じ。
黒い肌にニカっと白い歯が浮かぶ。

バラの花びらをほぐして蒸留し、ローズウォーターを作る。
これはもちろん肌につけても良いし飲んでも良いらしい。
日本ではあまり見かけない商品。
お土産用に何点かコスメを買い、併設されてるカフェでミントティーを入れてもらう。
ローズウォーターをお醤油をたらすくらいちょこっと入れて飲む。
「とても体に良い」と、くいっと飲みながらアハメッドは言った。

夕方ようやくワルザザードの街に着く。
ここにある世界遺産アイト・ベン・ハッドゥは、
「グラディエーター」など多くのハリウッド映画などのロケ地として有名な所らしい。
町にはオスカーの撮影スタジオなどもあり、かなり経済的に潤っている町とのこと。

今夜の宿はそのアイト・ベン・ハッドゥのすぐ近く。
見学は明日にして、今日は夕方の外観だけを望む。


↑夕日に染まるアイト・ベン・ハッドゥ

近くに友達の絨毯屋があるとかで連れて行かれる。
正直「げ、また絨毯…」と思った。
またまたいろんな絨毯が出て来て今度はとりあえずうんうんと見ていたが、
「安くしとくよー」とそこのおじさんに言われて、
かなり申し訳ない感じでアハメッドに「…カーペットはうちに必要ないんだけど…」と告げた。

アハメッドは「うーん」という感じで「すごい良いものだよ」と言ってきたけど、
私は「とりあえず一晩考えさせてくれ」と店を出た。

宿まで向かう間、
「あの絨毯はね、ベルベルの女性が2~3ヶ月もかけて手仕事で作ったものなんだよ。」
と懇々と説明される。
「僕は良くない物を進める人からはあなたをプロテクトする。
でもあなたは素晴らしいカーペットをここで安く買う事が出来て、
ベルベルの女性はそのお金を得る事でその子供達も潤う。
あなたもカーペットは思い出になるし、双方にとって良いと思ったんだ。」と言う。

「どこまで真に受けたらよいのかな…」とぼんやり思いつつ、
「わかったよ」と答え今夜は別れた。




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モロッコ旅行記1 マラケシュ



モロッコの旅6 「マラケシュ1」 ~お祭り広場の夜~



マラケシュ/ジャマ・エル・フナ広場


今朝は日程表より1時間早く行動開始。
日本のツアー会社からもらったプログラムでは、
アイト・ベン・ハッドゥは外観だけの予定だったが、
アハメッドがせっかくだから中に入って上まで登ろうと言った。

ここは昔、多くの家族が住んでいて、
敵の侵入から女子供や食料を守るために築いた要塞だ。
世界遺産となっているが、数世帯くらいの家族が現在も住んでいるらしい。




「今日は暑くなるよ」とアハメッドが言う。
「8時の段階でこれだけ暑いから、今日は暑くなる」とジャケットを脱ぐ。
「私、フリース着てきちゃったよー!」と失敗したーという顔をしてみせた。

スペインだかフランスだかの団体旅行者が、ガイドの説明を聞いているのを見ていたら、
そこのガイドに「ジャポネ?」と言われたので、「イエス」と答えた。
そのガイドが日本に行った事あるよ!と嬉しそうに言った。
「シナガワ カマタ シンバシ」に行ったらしい。
思いがけずローカルな駅名に笑った。

石段を上まで登る途中、日本人の団体にも会った。
「一人で来てるのー?」とおばさま方に感心された。
「パーフェクトなガイドがついてるんで!」と言うと、
アハメッドが「ありがとう!」と言った。
アハメッドが写真を撮ってるおじさんに
「No! Photo!(写真ダメ!←嘘だけど)」とちょっかいを出していて、
おじさんは「えっ!」と、びっくりしていた。
それを見て「He is surprised!」と二人で笑った。

登るのはちと大変で日差しも強く、フリースを脱ぎ、首に巻いていたストールを
「イスラミック風」と言ってイスラムの女性のように頭からかぶった。
アハメッドが「いいねー」って感じで自分のiPadで写真を撮った。

昨日ちょっと空気が悪くなってから、
私が楽しんでいるかどうか何かと確認してくるようになった。
何かある度に「Good?」「メズィヤーン?」と聞いてくる。
その度に私は「Good!」「メズィヤーン!」と答える。



↑頂上になぜかワンコが。かわいいワンコだ。

↑映画「グラディエーター」で使用したデコレーションがまだ残されている。

頑張って頂上まで登り、反対側に下りる。
下りる途中で「昨日のカーペットの店に行きたい」と言ったら、
アハメッドは「あぁ、別に気にしなくていいよ」と言ったけど、
「とりあえずもう一度商品見たいから」と言って再びあの店を訪れた。

昨日最終的に迷っていた二つを並べる。
カーペットは赤や黄色、青など原色使いデザインが多いのだが、
一つは落ち着いた明るめのグリーンのモロッコ絨毯にしては
珍しい色合いでシンプルだけど可愛い感じのもの。
もう一つは昨日アハメッドがおすすめしていた
赤や黄色、青が細かく織られたデザインの小振りなものをもう一度冷静な目で見て、
グリーンのやつが「可愛いな」と思ったので、納得した上でそれを買う事にした。

絨毯屋のおじさんが「ファティマ!ファティマ!」と誰かを呼ぶと、
奥から一人の女性が出て来て、商品を梱包してくれた。
彼女はアラビア語しか話せないようで、カーペットと自分を交互に指差して、
何かを言っていた。
「このカーペット、私が作ったのよ!」と言っているようだったが、
アラブ語なので実際のところはわからない。
でもとても嬉しそうな顔をしていて、みんなハッピーな空気になったので、
カーペットを買ってよかったなと思った。

こちらにとってはちょっと出費した程度でも、
現地の人にしては大きなお金なのだろう。
そんないきさつで買ったカーペットだけど、日本に帰ってきて見てみたら、
不思議と買ってきたお土産の中で一番素敵だった。


↑自宅にて。その時買ったカーペット。

さて、次の目的地、いよいよマラケシュへ向かう。
今日もアラビア語と日本語の練習。
「ワヘッド ジュルージュ ザラーザ アルバン カムサ
 シッツァ セヴァ サマーニア ジージャ アシュラン」
と、「イチ ニ サン ヨン ゴ ロク ナナ ハチ キュー ジュー」
それに加えて今日は「空」「大地」「太陽」「川」「家」を教え合った。
途中で「うー!忘れた!」とか「えっと、何だっけ?」とか
お互い言いながら今度はハイアトラスを超える

ハイアトラスはかなりの急カーブが続く山道。
一部へびのように曲がりくねった区間もある。
高いだけでなく幅も結構ある山脈だ。
ひたすら山道が続く。




ほんと、モロッコに来てからというもの、日本がいかに小さな世界か思い知らされる。



↑何度も書きますが、写真ではスケール感が全く伝わらない。ものすごい高低差と奥行きがある。

アハメッドはふざけてぶんぶんハンドルを切りわざと車を揺らす。
「アイム クレイジー ドライバー!」とまた言ってるので、
半ばあきれぎみに「I don't forget you」というと、
「Me too!」という。
なぜなら一人の客を乗せたのは初めてなのだとか。
「だいたい二人、三人、五人とかだよ。」と言ったので、
「へー、そうだったんだ。」と実はさぞかし気を使っていたんじゃないかなと思った。

風が強く寒いアトラスを下ると、そこは暑いマラケシュ。
一日のうちで気温差が激しい。

マラケシュはアハメッドの住む街。
「娘に会える~!」と嬉しそうだった。

マラケシュに到着、またローカルガイドと交代になるが、
ここでも日本語が話せるガイドを見つけてくれた。
入り組んだ旧市街は歩きじゃないと回れないので、アハメッドは早々に帰っていった。
明日は終日自由行動なので、アハメッドに会うのはもう最終日だけだ。



↑アグノウ門。この前でアハメッドと2ショット写真を撮った。彼の写真はその1枚きり。

マラケシュのローカルガイドと名所を回る。
説明以外はあまり話さない人で、
名所も外国人旅行者でごったがえしてそんなに面白くなかったので、さっさと出た。
スークという小さな店が立ち並ぶ迷路のような市場も次の日買い物しようと思っていたので、
特に見たい物もなく素通り。

お祭り騒ぎのジャマ・エル・フナ広場を見下ろせるカフェで
ミントティーを飲むのが本日最後のプログラム。
一年中屋台やパフォーマンスをする人々で賑わっているフナ広場だが、
この時間はまだそれほどごった返してはいない。
隣の席のアジア人の男性が西洋人に写真を撮ってもらっているなぁと
ぼんやり見ながらお茶をしていたら、
その男性が私に気づいて「日本の方ですか?」と日本語で聞いてきた。
また日本人に会った。



↑この旅行中、何度飲んだかわからないミントティー。

今回の旅では、不思議とガイドが離れると日本人が現れて、
全く寂しい思いをしないで済んでいる。
その若者はもう3日もマラケシュにいるが初めて日本人に会ったと言う。
私もどうせこれで今日のプログラムは終わりだし、夕飯も一人じゃ寂しいので、
これから夜まで行動を共にすることにした。

下で待っていたローカルガイドに「もう帰っていいよ」と告げ、
私はこの後モロッコワインが買いたかったのだが、
新市街にあるという事しかわからないので、
どうしたものかと思っていると若者に言った。
そしたら若者はもう何度か新市街まで言っているらしく、iPadも持っているので、
ワインの売ってそうな場所を調べてくれて、
歩きだと結構遠いからとタクシーも値段交渉してつかまえてくれた。

ワインはスーパーに売っているようだったので、地元のスーパーに行く。
物珍しい食品がいっぱいで、若者は「わーすごい楽しい~」と喜んでいた。
明日の朝食用のパンなどを買っていた。
私も無事にワインをゲットし、またフナ広場に戻った。



↑スーパー、結構充実しています。

夕暮れのフナ広場は賑わいを増していた。
若者がソーセージの屋台が美味しかったよと言うので、
その屋台に向かったけど、それまでの呼び込みがすごいすごい。
「ザキヤマキター!」とか「マツコデラックス!」「タカダノババ」など、
どこで覚えたんだ?という日本語で話しかけてくる。
それらをかわし、目当ての屋台へ。

パンとソーセージとトマトソースで15DH。200円くらいかな?(安っ!)
でも若者は、「えー!昨日は一人で60DHって言われた!」とショックを受けていた。
「屋台で60DHは高いと思うよ!」と私は言った。
おそらくぼられたのであろう。ここはそういう所だ。



↑屋台のお兄さん。

モロッコは比較的治安の良い国だとは思う。
犯罪めいた雰囲気はあまりない。
だけど、こういったぼったくり的な事は多々あるのだ。
それは明日身をもって体験する事となる…。

屋台を出て、フナ広場名物のフレッシュオレンジジュースの屋台でのどを潤す。
オレンジジュースはどこで飲んでも間違いない。
しかも4DH。若者も「何回も飲んだよ!」と言っていた。

暗くなるにつれて、広場はどんどん人が増えてきたように思う。
整列したペットボトルをドーナツみたいな輪っかで取るゲームをやっている人たち。
絶対取れないと思うんだけど。。
しかもこれ、もし取れてもジュースはもらえないらしい。
意味わからん。

赤い派手な衣装を着た水おじさんもあちこちにいた。
水おじさんとは水を売っているのではなく、
水をあげるという気持ちに対してお金をくれというこれまた意味不明な存在。
写真撮るとチップを要求されるそうなので、写真はない。
(気になる人はグーグルとかで調べてね)

若者は明日早朝にはトドラに行くそうで、ここでお別れとなった。



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モロッコ旅行記1 マラケシュ2



モロッコの旅7 「マラケシュ2」 ~ヘナタトゥー逃走劇~


マラケシュ


本日は終日自由行動。

朝からアザーンが鳴り響く。
アザーンとはイスラム教における礼拝の呼びかけみたいなもので、
一日5回それぞれの町にあるミナレットという高い塔から決まった時間に、
男性の礼拝を呼び掛ける歌(?)が大音量で流れる。
テープの所もあるらしいが、生声の所もあり、
昨日の若者は「よく聞いてると途中で”うっ”って詰まったりしてるよー。」
と言っていた。(^ ^;)
アザーンは朝は4時くらいから始まる。
何もこんな時間からやらなくても…と思うが、イスラム教徒は一度起きてお祈りし、
また寝るらしい。大変だなぁ。

今日は日本にいる時に「地球の歩き方」の掲示板でやりとりして、
マラケシュで会いましょうと約束していたNさんと行動する予定でいた。

10時にホテルまで来てくれることになっていたので、
それまで旅の最初にアハメッドに渡された今回の旅についての
アンケートを書いたりしていた。
最終日に提出するものだ。

アンケートを書いている途中、何故か涙がぽろぽろこぼれた。
寂しいというよりは、みんな良い人だったなと思ったら、
自動的に涙がこぼれた。

特にアハメッド。
ずっと一緒に旅をしているうちに情が移ったのだろうか。
明日、別れる事を思ったら涙が止まらない。

まいった…。今からこれでは明日が思いやられる。。

私は海外に限らず旅行に出ると、一度は家に帰りたいなぁとか、
みんなどうしているかなぁ?とか思ったりする。
でも、不思議とモロッコに来てからはほとんど日本の事は思い出さなかった。

部屋に一人でいると、しんみりしてしまうので、早めにロビーに降りて、
Nさんを待った。

モロッコに来てから連絡がとれなかったので、ちゃんと会えるか心配していたけど、
しばらくしてNさんが現れほっとした。

Nさんももうマラケシュは数日いるのでいろいろ見てしまったらしい。
私もお土産などは結構買ってしまったので、欲しい物もそんなになかったのだが、
サハラの砂を入れるような小ビンやかごバッグくらい買おうかな?と、
なんとなくスーク(市場)を歩き始めた。


↑マラケシュも猫が多い。



↑スーク。細い路地に人、車、ロバ、バイクもがんがん通る。

いろいろ見て、かごバッグの店に入った時に、よさげなのがあったので、
値段交渉を始めた。
(ここでは全て買い物は値段交渉で買う)
ダメもとで30DHでOK?と聞いたら(今思えば私の言い値もひどいが…)、
あっさりOKと言うので、「えー、マジでー。」と30DH渡したら、
店のおっさんはさっとお金を自分のポケットに入れ、
伝票に600DHと書いて渡してきた。
「話が違う!30でいいって言ったじゃん!」と文句を言うと、
頑として600と言って譲らない。

「じゃぁもういらないから30DH返して!」というとそれも返してくれない。
「600払え」と言い張る。
頭に来て「No!! Back Money!!!!」と、何度も叫んでいたら、
しぶしぶ20DH返してきた。
まだ10DH足りない。この期に及んでごまかそうとしているのだ。
更に「No!! 10DH!!!!」と叫ぶと、5DH返してきた。せこい。
「5!!!」と更に叫んでやっと5DHも返してもらった。

はぁ~これがみんながいうぼったくり商人根性か…と、身をもって体験した。

買い物ももうめんどくさくなったので、
昨日若者が「アボカドジュースがおいしかった」とおすすめしていたので、
その店に行ってアボカドジュースを飲んだらおなかがいっぱいになってしまった。



↑ジョッキになみなみとアボカドジュース。クリーミーでほんのり甘い。

ランチをしようと思っていたのに、二人ともあまりお腹が空かず、
とりあえず定価でモロッコの物産が買える伝統工芸館に行ってみたりもしたけど、
特に欲しい物もなく、スークよりもちょっと高かったのでそこも出た。

夜、もう一人日本人の女性がマラケシュ入りして、
Nさんはその人とディナーを食べる約束をしているとの事だったので、
私もディナーを一緒にさせてもらうことにして、
明日の帰国準備のために一旦ホテルに戻る事にした。

ちょっと昼寝しようかな?と思ったけど、なかなか寝付けなかった。
なんとなくアハメッドの事を考えていた。

今まで良くしてくれていい人だって思って朝は感情的に泣いてしまったけど、
さっきのかごバッグ屋みたいに本当はチップ目当てとか、
所詮ビジネスでやってる事だったかもしれないと、妙に冷静になっていた。

部屋でごろごろしていても、もんもんとしてしまうので、
フィルムがあとちょっと残っていることもあり、ホテルの目の前の、
マラケシュのシンボルでもあるクトゥビアの塔の写真を撮ったりした。

聖子ちゃんの歌の「マラケッシュ 高い塔に 青い月が昇るわ~」の塔だ。
ちなみに70メートルくらいある。



ジャガランダの花がきれいだった。
ジャガランダはアフリカ地方に咲く日本の桜のような紫の花で、
ある期間限定でしか見る事ができないというのは以前どこかで聞いていた。



↑ジャガランダの花。なんてきれい。

アフリカなんて遠い場所に行く予定もないし、
行ったとしてもちょうどその時期に当たるなんてないだろうから、
一生見る事はないと思っていたジャガランダ。
今回見る事ができて、嬉しかった。

フィルムも撮りきり、ちょっと早いけど待ち合わせのフナ広場まで行ってみる事にした。

帰国間際で現金をあまり持っていなかったので、
ヘナタトゥーぐらいなら手持ちのお金で時間つぶせるかな?と思い、
ぷらぷら歩いていると早速ヘナの人が寄ってくる。
さっきのかごバッグ屋でえらい目にあったことをふまえ、
ガイドブックに相場は30~50DHとあったので、
今度はちゃんと紙にまずは安めの「30DH」と書いて「OK?」というと、
あっさり「OK」と言った。

「やった!」と内心喜んでタトゥーが出来上がったので30DH渡して去ろうとすると、
「足りない。」という。「え?」と聞き返すと300DH請求してきた。冗談じゃない。
「それはおかしい!」とさっきの紙を見せると30DHのDを0だと言い張る。
めちゃくちゃだ。
二人でしばらく「No! No!」と言い合っていると、
急に相手の女性が「あっ!」と誰かを見つけたようで追いかけていった。
はっと私を振り返り「1 minites wait !」と叫んで走って行くのを見て、
「逃げるならこの隙にしかない!」と傍にいた仲間のおばちゃんに「メルシ!」と、
30DH渡して猛ダッシュで逃げた。
後を追って来るんじゃないかと必死で横道に入り、更に走った。

マラケシュ…あまり良い事がない。。

しばらくカフェで身を隠し、待ち合わせ時間になって、
裏の方からこっそり待ち合わせ場所に行ったら、
Nさんはもう来ていて「あれ?こっちから来たの?」と言ったので、
「ちょっとフナ広場でいろいろあって…」といきさつを話したら、
「それは詐欺だ」と私が正しいと言ってくれた。

そして夕方マラケシュ入りした関西弁の女性とも無事に合流し、
ローカルな感じのお店でいろいろお喋りしながら最後のモロッコ料理を食べた。



↑最後の晩餐!!クスクスとオムレツとモロカンサラダ。

二人は明日朝から砂漠に向かうらしい。
「楽しんできてね~!」と二人に別れを告げた。



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モロッコ旅行記1 カサブランカ



モロッコの旅8 「カサブランカ」 ~涙・涙・涙~



カサブランカ/ムハンマド5世空港


今日でモロッコともお別れだ。

もうすぐアハメッドが迎えにくる。
なんとなく、どんな顔していいかわからないまま、ぱぱっと朝食を済ませ、ロビーで待つ。



↑ラスト朝食。なかなか喉を通らない。

↑ホテルロビー。準備は万端。

しばらくすると慣れ親しんだイエローワゴンが来た。

「グッドモーニング!」いつものようににこやかに挨拶。
カーペットのお金を借りていたので返す。
お金を一枚一枚「ワヘーッド、ジュルージュ、ザラーザ~」と覚えたアラビア語で数えて返した。

「今日で最後だねー、I miss you~」というような事をアハメッドが言う。
「Me too! Me too!」と笑って答えるがまともに目が見れない。。

そして出発。
マラケシュから空港のあるカサブランカまでは3時間くらいかかる。
何か話題話題~と考えるが、喋ると泣いてしまいそうで黙り込む。

アハメッドがラジオをつけたけど、つまらなそうなチャンネルばかりだったので、
私は「CD!」と言ってCDをかけようとしたら、
オーディオのコントロールパネルがぼろっととれてしまった。

「Broken?」と心配そうに覗き込んだら、
アハメッドが「No problem!」と言って直すついでに、
「そうそう」みたいな感じで私に袋を渡した。

開けてみると中にモロッコ名産のアルガンオイルと石鹸のコスメセットと
小さなボトルに入ったサハラの砂が入っていた。

「present!」とアハメッドが言った。

「Thank you…」と言った私の目がみるみるかすんで、目から大粒の涙が落ちた。

アハメッドがびっくりして「Why? Don't cry!! I want to enjoy!」と言ったので、
「Sorry」と一生懸命笑おうとしたけど「うわーん!」と子供みたいに泣いてしまった。
ちなみに私は今年4●歳になる…。情けない。。

何度も何度も頑張ったけど、涙は止める事ができなくて、しばらく泣き続けた。
アハメッド、困っただろうな…。

1時間くらいしたら少し落ち着いて来て、アハメッドは町の説明を始めたりした。
外はきれいな緑の畑が広がっている。
レンズ豆の畑だと言う。

空港までの道は2パターンあって、
おそらく1つはハイウェイで早く到着できる道だったのだと思うが、
こっちのきれいな道を選んだという。

「あなたこういうの好きでしょう?」と。
完全に読まれている。。。

しばらく無言で進む。
気のせいかアハメッドも時々目のあたりを指でぬぐっていて泣いているような気がした。
泣いているのを見てしまったら、私も制御不能になるので、確認はしていない。

飛行機が低く飛んでいるが見えてきた。
空港が近いのだろう。
「あの向こうはもうエアポートだよ」と、
木が立ち並ぶ向こう側を指差してアハメッドが言った。

「11時に全プログラム終了予定。この調子だとジャストタイムだ。」と言った。

空港ターミナルが見えてきた。
いよいよお別れだ。

車を降りて荷物を下ろしてくれる。
「Wao! Heavy!」と重そう。
「忘れ物はないかな?まぁ、あったら僕が日本まで届けるよ!」と笑う。
「待ってる。」と、私も小さく笑う。

ターミナルに入り、チェックインの手続きをしてくれる。
カウンターの列に並ぶが、スタッフの仕事が遅くてなかなか進まない。
この間が辛い。早くして欲しい。

ようやく手続きも済ませ、残ったDHも円に両替しなおし、
メールアドレスを交換し、
チップも渡して「Thank you so much」と握手をした。

アハメッドが最後に「Good?」と聞いてきた。
私は「Good!」と答えた。
「メズィヤーン?」ともう一度聞いて来たので「メズィヤーン!」と答えた。
じゃぁ、と言ったとたんまた「うわーん」と泣き出してしまった。

アハメッドが心配そうに見ていたので、首を左右に振ってぱんぱんと頬を両手で叩き、
「OK」と無理矢理笑って、「バイバーイ!」とゲートをくぐった。

ゲートの中にいた空港のスタッフに「なんで泣いてるのー?」と心配された。
恥ずかしい。

帰国してからふと目にしたネットの記事に、モロッコ人の気質は、
「家族や仲間を大事にし、面倒見が良い」とあった。

アハメッドが私にカーペットを熱心にすすめたり、
親切にしてくれたのは、彼自身の利益のためなんじゃないかとか考えた時もあったが、
彼の中では、決して裕福ではないモロッコの仲間達が少しでも利益が得られるように、
そして観光客の私には本当に買って損はないものをすすめていたのかもしれない。

名所の説明などをする時、英語があまりわからない私は、
適当に相づちを打っていたりしたのだが、
私はわからなければわからないでそれでもいいやーって思っていたのだけど、
アハメッドはそんな私を見て「Understand?」と聞き、
私が「No」と言うと、面倒な顔一つせずにiPadでわからない単語を調べてくれたり、
Wikipediaの日本語の説明文をわざわざ検索して私に見せてくれたりした。

適当なガイドだったら、私が適当に流していれば適当に済ませていただろう。

「家族や仲間を大事にし、面倒見が良い」という一言で、
今までモヤモヤしていた事が、いろいろつじつまが合うように思った。

そしてそんな彼の温かさに、無意識のうちに感銘を受けていたのかもしれない。
そんな彼と見てきた 雄大な景色、澄んだ空気、はたまた今まで触れた事のない文化や習慣、
様々なものは私に多大な影響を与えた。

出発までは高いお金払ってそんな所まで一人で行く事を
もったいないかな?と思う部分もなくはなかった。

でもアハメッドがいてくれたから、私は安心して快適な楽しい旅を送れたと思う。

モロッコ、行ってよかった。

Thank you! mercy! シュクラン!ありがとう!!

一生に一度の旅はこうして ”ALL FINISH” となった。




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お問い合わせ等もお休みとなります。

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店主よりご挨拶

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こんにちは!メズモロです!
キュートなモロッコ雑貨を、
真心をこめてお届けします!

モロッコを旅して出会ったモロッコの雑貨たち。
その可愛さに心を奪われただけでなく、
モロッコの工芸品を買う事はモロッコの人々の
生活の助けになるという事を知り、
2013年にショップを立ち上げました。
小さなショップですが素敵なモロッコ雑貨を通じて、
モロッコと日本の人々の笑顔が増えれば幸いです。


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