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旅する小説「星の王子と砂漠の井戸」

第16話 <あの子の痛み>


朝になり、優が来るのを待っていたけど
時間になっても現れなかった。


メッセージを送ってみたが、既読にすらならない。


「何かあったのかも!?」急に心配になった。


どうしようか…モハメッドに連絡する?


いやいやまだ何かあったとは限らないし、
モハメッドも普段なかなか家にいられない分、

家族との時間を過ごしているかもしれない。


しばらく考えていたけど、
意を決して優のホテルに行ってみる事にした。


恐る恐る外に出てみると、
いつものように狭い路地にはロバ車を引くおじさんが


「バラック!バラック!(どいてどいて!)」と叫んでいて、


その向かいと後ろからはバイクが詰まって双方進めず、もめている。


そこに歩いてきた人も加わりカオス状態の中を私はすり抜け、

誰にも話しかけられないように小走りでホテルに行き、

フロントで「ユウ ホシノ」と名前を言って、部屋を教えてもらった。

部屋のドアをノックすると、ひどく熱っぽい顔の優が出て来た。


「ちょっと大丈夫!?」

おでこに手をあてるとかなり熱い。


「ごめん、なんだかめっちゃ調子悪くて。

部屋のwi-fi弱くてメッセージも送れなかった」


「いいよいいよ。 寝てな」とベッドに促す。

おそらく長いことモロッコを旅してきて、疲れが出たのだろう。

星の王子 第十五話


「私、薬持ってる。
果物か何か買ってくるからそしたら飲んで。

すぐ戻るからちょっと待ってて!」



そう言って部屋を飛び出した。


いざ外に出てみたものの、ガイドブックをなくした私は、
どこに何があるのかわからない。



とりあえずフナ広場に向かい、スークの中に入った。


えっと……とりあえず優しそうなお店の人に、
食べ物が売っている所を聞いて回ると、
スークの奥の方にちょとした広場があって、
果物など売っているマルシェがあるのがわかった。


途中何度も迷ってはお店に聞いてを繰り返し、
ようやくそのマルシェに出た。


バナナとリンゴ、あと近くの売店で
ミネラルウォーターも買って宿に戻り、
フロントのスタッフに「友達が熱があって辛そうだ」と話すと、
「水分を摂って」とトマトベースに野菜や豆の入った
「ハリラ」というモロッコのスープを用意してくれた。

ハリラは日本で言ったら味噌汁のような位置付けのスープらしい。

「シュクラン!(ありがとう)」
とスタッフに告げ、部屋に戻ると優は、
はぁはぁと呼吸が荒く、苦しそうだった。


「少しだけでも」とバナナとスープを与えて、薬を飲ませた。


「眠るまでここにいてくれる?」


いつも平然としている優が、不安そうな目をして言った。


「いいよ」



ぽんぽんと毛布をたたいて、
私は近くにあった椅子に座り、テーブルに向かった。



そしてバッグの中から、
どこかで書こうと持ち歩いていたレターセットを出した。


シャウエンで優に母の話をしてから、
母に言いたい事をぶつけてみようと思っていた。



『お母さんへ


私は今モロッコに来ています。
面と向かってはなかなか言えないこと、
ここなら言えそうな気がして手紙を書きました。


私、お母さんからお父さんの愚痴を聞かされるのがずっと辛かった。

お母さんにとってお父さんは他人かもしれないけど、
私にとっては血の繋がった人間。


お母さんは知らないと思うけど、私、お父さんにそっくりな所あるんだ。


でもお母さんはいつもそんなお父さんを悪く言っていたから
私の事も否定されているみたいで、ずっと自分の事が好きになれなかった。


でもお母さんはお母さんでいっぱいいっぱいだったってこともわかる。


きっと愚痴をこぼさないとやってられなかったんだよね。

お母さんは私が失敗しないようにいろいろ手を尽くしてくれた。

おかげで良い事もいっぱいあった。


私、今でもいろいろダメだけど、
なんだか不思議とこんな自分も悪くないって気がしてる。


モロッコっていう国に来て、いろんなものを見たんだ。


そしていろんな発見があった。


自分が恵まれていること、弱い所、それでも乗り越えられる所。



いろんな考え方があって、いろんな生き方がある。


お母さんからしたらまだまだ心配なこといっぱいあると思うけど、

そんなに心配しなくても私は大丈夫だよ。


こんな話でごめんね。


いろいろあるけど、この世に生まれたおかげで
この広い世界を見ることができた。



今は産んでくれてありがとうって思っているよ』


じんわりと目が熱くなった時、優がうなされているのに気がついた。


慌てて駆け寄ると優は泣いていた。


「ごめん、ごめん……」と繰り返しながら。


私は思わず「泣かないで!」と優を抱きしめた。


しばらく毛布をポンポンして落ち着かせると薬が効いて来たのか、
すぅーっと静かな寝息をたて始めた。

私は「また様子見に来るね」と置き手紙を残して、そっと部屋を出た。


いつも淡々としているけど、その内側では優も苦しんでいたんだ。


辛いのは私だけじゃない。


夕方、優からメッセージが届いた。


「ありがとう。 今日はエッサウィラに行けなくてごめん。

だいぶ落ち着いてきました。 でも明日も休んだ方が良さそう」


「こっちは大丈夫。 気にしないで。
まだ時間はあるし、明日も大事をとって休んで。

私は一人で街中でもぶらついてるから。笑

明後日、元気になったらエッサウィラに行きましょう」


と、私は返事を打った。

優、少し元気になったみたいで良かった。


明日は完全な一人行動だけど、頑張って出かけてみよう。




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店主よりご挨拶

こんにちは!メズモロです!
キュートなモロッコ雑貨を、
真心をこめてお届けします!

モロッコを旅して出会ったモロッコの雑貨たち。
その可愛さに心を奪われただけでなく、
モロッコの工芸品を買う事はモロッコの人々の
生活の助けになるという事を知り、
2013年にショップを立ち上げました。
小さなショップですが素敵なモロッコ雑貨を通じて、
モロッコと日本の人々の笑顔が増えれば幸いです。

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